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23.05.30

エーグルも注目、都市型農業が叶える豊かな暮らし。

1853年フランスで生まれたエーグルは、創業当時から天然ゴム製のラバーブーツをハンドメイドで作り続け、自然に寄りそいながら独自のクラフトマンシップを育み、農家たちに愛されてきた。土で繋がるさまざまな自然のフィールドでの活動をサポートしてきたエーグルは、街と自然を繋ぎ寄りそう暮らしを提案し、近年はより一層環境へ配慮した製品作りを実践している。

今回はエーグルが注目する都市型農業家、ハスネファームにスポットを当てる。東京都板橋区の住宅地に広がる3,000㎡の畑で、地域の人とともに都市農業の可能性を模索しているその取り組みを紹介する。

人と自然を繋ぐ、都市農業の可能性。

2019年に先代の農地を受け継ぎ、新しく有機農法をはじめたのは、川口真由美さんとパートナーの冨永悠さんだ。「わが家は代々農家で、江戸時代にはサトイモで繁盛したそうです。この辺りは元々湿地帯で土質もそれほどいいわけじゃない。周りの畑もどんどん減っていくなか、父が他界した時、この畑をどうするかいろいろ考えました」と川口さんは話す。

パートナーで現在農園主を務める冨永さんは当時サラリーマンだったが、たまたま知った社会人向けの農業学校に興味をもち通い始めたところ、その奥深さにのめり込んでいった。「兼業で始めた農業でしたが、畑で作業していると近隣の人がどんどん声をかけてくれる。みんな自分が口にしている食物がどうやって作られているのか興味を持っているんです。そこで都市農業の可能性にかけてみようと覚悟を決めました」と冨永さん。脱サラし、3、4年続けるうちに温暖化の影響を肌で感じるようにもなった。「去年収穫していた時期に同じ野菜が採れなくなって、どんどん時期を早めて植えるようになりました。自然環境は確実に変化していますね」

冨永さんが学び、実践しているのは農薬や化学肥料を使わない有機農法だ。子どもの頃からこの場所で土に触れてきた川口さんは、土壌が劇的に変化するのを目の当たりにした。「以前は耕してもすぐに土が硬くなってしまって、根菜がまっすぐ育たなかったんですが、有機に変えてからは大根が太くしっかり育つようになりました。休耕地もほとんどないですね」

土作りにゴールはないと冨永さんは言う。「やればやるほど学びがありますが、できるだけ自然に近い形の農業にシフトしています。そこに人がどう関わっていけるかを考えていきたいですね」

都市農業の魅力を地域の人に伝えるため、野菜を定期購入してくれる年会員制も実施している。「これまで直売で買ってくれていた方、農業に興味のある方と、畑を通じて継続的に関係を作っていきたい。会員には農作業を手伝ってもらったり、家庭の生ごみを持ち寄って堆肥作りに参加してもらっています」と冨永さん。

農作業を手伝うのは、近隣の食料品店や飲食店、健康に関心の高いヨガの先生や鍼灸師、農に興味のある大学生と実に幅広い。幼稚園や保育園からは毎年延べ1,000人以上もの子どもたちが農業体験にやってくる。21年から始めたファーマーズレストランではシェフとのコラボレーションによって、栽培する野菜のレパートリーは飛躍的に広がった。

「野菜を育てるのは水と土と太陽です。自分はそのお手伝いをしているだけ。畑が都市のコミュニティになるように、社会的な役割を感じながら日々、畑に関わっています」という冨永さん。畑を通じて自然と人が共存することの大切さを、ハスネファームは教えてくれる。

ハスネファームが運営するシェフズキッチン「プラント」は、定期的にシェフが交代で腕をふるう完全予約制のレストラン。その日採れた新鮮な野菜をメインにコース仕立てで料理を提供する。このディナーにフィガロジャポン読者8名をご案内。詳しくは下記応募要項を参照ください。





EVENT
「土に親しむ、野菜の収穫体験&スペシャルディナー」

開催日:2023/6/11(日)
場所:東京都板橋区 ハスネファーム&プラント
概要:
記事にて紹介した、有機栽培の畑「ハスネ ファーム」と近接するレストラン「プラント」にて、土に触れ、野菜の収穫体験や苗植えを行い、採れたての野菜を使ったディナーを楽しむ会を開催します! イベントの詳細や応募方法は、下記リンクボタン「イベント応募ページへ」よりアクセスの上ご確認ください。