23.07.07

エーグルとともに、農と土を五感で味わった一日。

1853年、フランスで生まれたエーグル。創業当時から天然ゴム製のラバーブーツをハンドメイドで作り続け、自然に寄り添いながら独自のクラフトマンシップを育み、農家の人々に愛されてきた。土で繋がるさまざまな自然のフィールドでも活動をサポートしてきたエーグルは、街と自然を繋ぐ暮らしを提案し、近年はより一層環境に配慮した製品作りを実践している。

去る6月11日、エーグルが注目する都市型農家、ハスネファームにてフィガロジャポンとのイベント「農と土に親しむ、野菜の収穫体験&スペシャルディナー」が開催された。畑を見学し、土に触れ、採れたての野菜を使ったディナーをレストランで楽しむというものだ。12人の参加者は、生産者や料理人と触れ合いながら、野菜をめぐる話に花を咲かせた。

都会に広がる畑で土に触れ、自然の力を感じる。

梅雨の時期の畑には、たっぷりと水分を含んだ土にたくさんの野菜が元気に育っていた。東京都板橋区の住宅地で有機農法に取り組んでいるハスネファームに集合した参加者は、エーグルのブーツに履き替えて身支度を整える。「農場へ向かう前にみなさんにぜひお見せしたいものがあります」と農場主の冨永悠さんがまず案内したのはレストランのバックヤードで作っている堆肥だ。地域の小学校などから集めた生ゴミに腐葉土を混ぜ、発酵させて作る堆肥の説明に、みんな興味津々。「発酵中の堆肥は60℃くらいあります」と聞いた参加者が、実際に堆肥を手で触れる場面もあった。

冨永さんの説明を聞きながら、熱心にメモを取ったり質問をしたりする参加者たち。

生ゴミを資源として回収し畑の肥料にすることで、自然の循環が生まれる。

畑に到着すると、冨永さんがひとつひとつ野菜の説明を始める。ズッキーニやパクチー、ビーツ、さまざまなハーブのほか、高く蔓を延ばしたホップまで、実に多種多様な野菜が生育している。なかには江戸野菜の「馬込半白キュウリ」など珍しい品種も。参加者は野菜を手に取り、匂いを確かめたりしながら、「東京にこんな素晴らしい農園があるなんて!」と笑顔をほころばせた。

虫を寄せつけないなど良い影響を与え合うコンパニオンプラントを植えたり、抜いた植物をそのまま緑肥(りょくひ)にしたり。ハスネファームでは、手をかけすぎない農法を模索している。

成長して花が咲いたパクチーは、小さな花束にしてお土産に。食用にもできる。「野菜の花って可憐で可愛い」との声も。

この日は小雨混じりで畑の土もぬかるんでいたが、エーグルのブーツのフィット感の良さに皆、驚いていた。

土に触れながらバジルの鉢植え体験。

見学の後はバジルの苗植え体験を楽しんだ。鉢の代わりに用意されたのは、エーグルのカラフルなベビー用ラバーブーツ。エーグルでは、規格外で販売できないブーツを今回のようなイベントで再利用している。「根を張れるスペースを確保するために、苗は上部に植えるといいですよ」との冨永さんのアドバイスを聞きながら底石と土、苗を順に入れていく。「育て方のポイントとしては、葉がどんどん伸びてきたら、いちばん上の葉を切ること。そうすれば脇芽に栄養が行き渡って新鮮なバジルが楽しめます」との説明に皆、熱心に耳を傾けていた。

シナモン、ライム、ホーリーの3種類のバジルから好きな苗を植える。

カラフルなベビー用ラバーブーツをプラントポット代わりに。底に水はけ用の穴を開けているので、苗はこのまま育てることができる。

畑で採れた野菜を余すところなく味わう。

畑の見学が終わるとブーツを脱いで、近接のファームレストラン「プラント」へ。採れたての野菜を使って白石貴之シェフが腕を振るう。「3種のジャガイモのフリット・ピスタチオバター」、「ビーツと蝦夷鹿のタルタル」、オーブンで丸ごと1本をじっくり焼いた「キャロット」、「カモミールパンナコッタ 河内晩柑とフェンネル」など、メニューには先ほど畑で目にした野菜がさまざまな形に姿を変えて登場する。「おなじみの野菜がこんな料理になるなんて、真似したい!」と歓声があがった。

ディナーでは、土づくり、野菜づくりについての話題でおおいに意気投合した。

テーブルについた参加者の中には、都内で就農している女性もいて、話題は野菜づくりで盛り上がった。ハスネファームのオーナー川口真由美さんは料理を運びながらこう話す。「私たちは都会で見捨てられていた畑に光を当て、ここで採れた野菜は余すところなく使っています」。このレストランでは川口さんたちの思いを受けて、野菜の実、茎、葉、根までをさまざまな形で料理に生かしているのだ。

色鮮やかな野菜はメイン、付け合わせ、ソース、調味料などさまざまに姿を変えて登場。

「無農薬でなぜ虫がつかないのですか?」との質問には冨永さんが答える。「虫がつかないような強い野菜を作ることを心がけています。そのために堆肥や土づくりから研究しているんです」。強い野菜を作るためには並々ならぬ努力があるのだろうが、冨永さんはできるだけ自然体な農業を行うことを楽しんでいるように見える。

イベントの最後には畑の野菜がお土産に提供された。葉つきニンジンやズッキーニ、ニンニクなどどれも力強い味わい。左端が「馬込半白キュウリ」。
イベントが終わる頃にはすっかり意気投合した参加者たち。「次は〇〇さんの畑で会いましょう」と約束を交わす場面も。お土産にはハスネファームの畑で採れた野菜をエーグルのバッグに詰めて解散となった。作り手の顔が見える畑とレストランで、農の素晴らしさを共有した12人は、これからそれぞれの場所でどんな種を蒔いてくれるだろうか。

AIGLE SOIL TOIでは、フィガロジャポンとともに今後も農と土に関するイベントを企画中。ぜひお楽しみに!