髙田茉莉亜のAIGLE LIFE vol.17

馬場馬術選手として活躍する髙田茉莉亜選手とラバーブーツが人気のAIGLEとの連載企画です。

秋号ですが、夏の甲子園のお話を。
母校の慶應義塾の高校が107年ぶりの優勝を果たし、大きな話題となりました。
優勝とともに話題となった森林監督は、慶應義塾幼稚舎(小学校)で担任のクラスを持ちながら、高校の野球部の顧問をしている異色の人物。一貫校ならではのシステムだと思います。

森林監督の教えと、16年間私が慶應義塾で学んだことを馬術競技に重ねて考えてみたいと思います。


坊主、体罰、投球過多…「高校野球の常識を覆す」

森林監督と慶應義塾高校野球部のモットーで、これまでの高校野球の固定概念を取っ払い、伝統にとらわれず練習を行なってきたそうです。

「ちょっと遠回りになっても、選手に考えさせて、試行錯誤して最終的に自分で掴んだものが真の力になる」

高校野球を人生の通過点と考え、社会に出ても通用する考え方を育むための指導を心がけているそうです。森林監督の指導は、慶應義塾の理念に重なる部分があると考えます。

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「独立独歩」

創立者の福沢諭吉先生の言葉「独立自尊」が、書かれた掛け軸は幼稚舎の入り口の一番目立つ部分に掛けられ、小学1年生の頃からその言葉の意味について考えていました。
「自他の尊厳を守り、何事も自分の判断・責任のもとに行うことを味する、慶應義塾の基本精神」と慶應義塾のHPにもあります。

幼稚舎から高校まで、運動会や校内大会の練習メニュー、学園祭や演劇会の内容、時には授業の内容までクラスメートと考えることがありました。
その中でも「自由と勝手を履き違えないように」ということは厳しく教えられていました。

「エンジョイベースボール」

『「野球を楽しもう」です。何が楽しいかというと、当然スポーツなので勝つこと。そのために自分の技量を上げて、チームも強くなり、その結果、勝利という果実が得られる。負けてもいいだなんて全くなくて、勝利は貪欲に追求します。』
森林監督と野球部のみんなで考え、みんなで強くなり、みんなで勝つというモットー。チームスポーツならではの考えですが、馬術のような個人スポーツにも置き換えることが出来ると思います。自分で考え、自分で強くなり、勝つ。

とはいえ、馬術の場合、パートナーである馬のことも考えながら、トレーニングをする必要があります。なので、自分で考え、馬のことを考え、馬とともに強くなり、馬とともに勝つ。と置き換えることが出来るのではないでしょうか。

また、馬場馬術の場合は、審判員にジャッジされる採点競技なので、第三者の視点も重要です。ビデオを録り、自己評価して、良いところは伸ばし、悪いところを修正することもありますが、自分の信頼するトレーナーなど様々な方の意見を取り入れ、いつもフレッシュな考え方でいることを私は心掛けています。

そして、絶対に忘れてはいけないのは、獣医さんや、装蹄師さん、スポンサーの方々はじめ応援・サポートしてくださっている皆さんの存在です。個人スポーツといえど、人馬ごとにチームがいます。その方々への感謝の気持ちを第一に、競技に取り組んでいます。

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馬術と高校野球

100年以上の歴史がある高校野球。1900年に初めてオリンピック競技となった馬術も、同じく100年以上の歴史があります。
先人の方々が積み上げってくださったことに感謝しつつ、重んじるべき伝統と、時代に合わせて変わるべき伝統があり課題は山積みです。

まだ選手として駆け出しの私ですが、自身の信念を持ち、生涯スポーツである馬術の発展のために取り組んでいきたいと思います。

着用アイテム

暖かくて動きやすい機能性と、絶妙なシルエットと秋らしいコントラストカラーのデザイン性が備わったフリース。
この秋、ヘビロテ決定です!