北海道と東京、2拠点で自然に寄りそいながら生活する、柴咲コウさん。
彼女がライフスタイルにおいて大切にしていること、農業のこと、more treesのことなど、パリ20区にあるオーガニックフラワーファーム「Plein air」を訪れた彼女に話を聞いた。

  • Photographs : Takeshi Miyamoto
  • Art Direction : Daisuke Kano
  • Edit & Text : Mami Okamoto

 

パリで唯一の
オーガニックフラワーファームへ

__「Plein air」を訪問した感想を教えてください。

本当にパリの市街の中に、突如として天国のような空間が現れた、そんな感覚でした。
そして、その中に妖精が一人、佇んでいるような……。市民運動として、この活動を続け、植物を愛し続けるMasamiさんは、その佇まいとは逆にとてもタフに力強く感じました。

__柴咲さんが二拠点の暮らしを始めたきっかけと、北海道で、どんなふうに過ごしているか教えてください。

北海道は両親の出身地。父に、故郷でも過ごす時間を作ってほしく家を建てたのがきっかけです。仕事をする上で、東京での生活はとても便利ですが自然から得られるインスピレーションも私にとっては大切です。北海道は一人きりで自然の音や香りに包まれ“贅沢な孤独”を味わっています。クリエイティブ脳を動かす為にも、静かな森でのひとときは気に入っています。

 

柴咲コウさんが考える
農とサステナブルなくらし

__柴咲さんは、衣食住において、環境にやさしいサステナブルな暮らしをされています。いつ頃から「環境」や「自然」を意識するようになったのでしょうか。

自分の目に見えるものは美しくあってほしいと、物心ついた頃から感じていました。
朝起きてそよぐ風。季節ごとに変わる温度。暖かい日の光。恵みをもたらす雨。
自然のそれらにかなうものはないのかもしれませんが、人間が作り出す世の中も美しくあってほしい。
特に職人の技術や伝統工芸は素晴らしいと思っており、そうした出会いを通じて希望が持てるようになりました。

__なぜ、農に取り組もうと思われたのでしょうか。畑を始めてから、気持ちや価値観に変化はありましたか。

以前から「自給自足」にとても興味があったのもきっかけのひとつです。
野菜をつくる為の作業ですので泥んこにはなるのですが、とても気持ちが良いのです。大人になって泥だらけになったり、草や土に触れる事は少なくなったと思うのですが、大地のエネルギーを頂けるかけがえのない瞬間とも感じます。
愛情を込めて作った畑での野菜の生長力は凄く、ひとりでは食べきれないので、協力してくださった方に沢山おすそ分けしました。
実際の畑仕事には、動きやすさなど実用性がかなり重要になります。AIGLEのウエアは、その機能や実用性を持った製品で、さらにデザイン性も欠かしておらず、より生活に取り入れやすいと感じています。

 

 

 

「都市と森をつなぐ」
more treesとのつながり

__柴咲さんは、More treesの理念に賛同し、支援もされています。そのきっかけ、また、More treesの活動について、どのように考えていらっしゃるか教えてください。

代表の故・坂本龍一さんに直接お声がけいただいたのがきっかけです。
私自身、常々、植物なくして人間は生きていけないと感じており、また、森林の多い日本を守っていきたいという気持ちからその理念に賛同しました。
この活動が多くの方々に広まることを願っています。

__more treesの理念である「都市と森をつなぐ」を体現している柴咲さんですが、都市に住んでいる人々が、環境のため、持続可能な未来を生きるための第一歩としてできることを教えてください。

どのスタートラインに立っているかにもよると思いますが、「出口の見えないものづくり」や「消費」というものをまず見直す事からでしょうか。
私たち人間の身体も、何かをとり入れれば栄養として吸収されるもの(エネルギー)と、不要なもの(排泄物)が出ます。出口設計のないプロダクト作りや消費に「?」を持つことは大切と感じます。

柴咲コウさんとAIGLEにまつわるストーリーの続きは、 柴咲コウさんの公式YouTube「柴咲コウ レトロワch.」にて公開予定です。 https://www.youtube.com/@KOSHIBASAKI_OFFICIAL

 

Profile

柴咲コウ/ KO SHIBASAKI

東京都生まれ。1998年に芸能界デビューし、今年で活動25周年を迎える。俳優や歌手として活動する傍ら、2016年にはエンタメ・コマース事業を行うレトロワグラースを設立し、企業家としても活躍。2018年7月には環境省より「環境特別広報大使」に任命された。畑を作り自家製野菜を育てるなど自然に寄りそうライフスタイルを送っている。