1853年創業のライフスタイルブランド、AIGLE発祥の地であるフランス。
今回のチャリティコレクションのドローイングは、フランスを拠点に
世界的に活躍するアーティスト、イザベル・ボワノさんによるもの。
彼女のライフスタイルから、AIGLEのコンセプトである
「LIVE WITH NATURE」のスピリットをのぞいてみよう。
パリからTGVでおよそ2時間半。イザベル・ボワノさんが住む、フランス南西部のアングレームは、人口4万人程度とフランスでは小規模な都市。地域のシンボルともいえるシャラント川は大西洋へと続く穏やかな河川で、19世紀末までは魚や塩、スパイスなどを運ぶ重要な水路だった。そんな川を見下ろす丘の上に位置するこの街は、中心部は高台で景色がよく、城壁に囲まれた旧市街は落ち着いた佇まいが印象的だ。
「20年間パリに住んでいましたが、2年ほど前に大学時代を過ごしたアングレームに移住しました」。それは、幼いころから慣れ親しんだ自然を求めてのことだったという。「私にとって自然は不可欠なもの。パリで暮らしていたときも、森の中を歩いて、自然の中でライフバッテリーをチャージしなくては、都会で1か月以上過ごすことはできませんでした。自然がなければ、私は生きることも、作品にインスピレーションを与えることもできないのです」
アングレームに創作の拠点を移した現在は、落ち葉を拾ったり、押し花を作ったり、身近にある自然を作品に取り入れることが多くなったそう。自然とともに暮らすことで、インスピレーションの源も増え、作品にもいい影響を与えているようだ。
イザベルさんの表現は、デッサンやコラージュ、刺繍、映像など多岐にわたる。どの作品も本人を体現するような穏やかで優しい色づかいで、自然や植物、動物をモチーフにしたイラストが特徴的だ。その独自の感性は海外からも評価が高く、日本でも、さまざまな企業や店とコラボレーションして雑貨のデザインやイラストレーションを手がけている。それ以外にも個展やイベントの開催、書籍の出版など、その活躍ぶりは枚挙に暇がない。
「仕事やプライベートで日本を訪れるたび、日本の友人たちとの交流や、日本ならではの自然、街に親しんでいます。日本にはお店もたくさんあって賑やかなのに、どこか静かで落ち着いた雰囲気。フランスのように、車やクラクションの騒音が少ないところが気に入っています。そして都市や公園、背の高い桜が立ち並ぶ川など、たくさんの緑地があるところも好き。日本の木は、フランスに比べてひとつひとつが大きいことも印象的です」
日本のことを知るにつれ、日本文化への興味や造詣も深まっているというイザベルさん。フランス発のブランドとして、日仏の自然に寄り添うライフスタイルをつないでいるAIGLE同様、自身の作品を通じてフランスと日本それぞれの文化をつないでいる。
フランスと日本、どちらのカルチャーにも通じ、両国の橋渡しをするイザベルさん。今回のチャリティコレクションでは、Tシャツは日本とフランスの植物(葉っぱ)を、そしてトートバッグは山の風景とAIGLE(鷲)をモチーフに選んだ。
「このプロジェクトの話を聞いたとき、真っ先に描きたいと思ったのが木や葉でした。なぜなら、木は生命の源だから。春先には、木々のつぼみや新緑の葉を眺めて楽しみます。それは私にとって、毎年訪れる喜びなのです」
自然を愛するイザベルさんにとって、more treesの理念やAIGLEの「LIVE WITH NATURE」というコンセプトは共感できるものだったそう。
「more treesの森のことを頭に浮かべながら、フランスと日本、どちらの森にも植生している葉っぱを選びました。more treesのコンセプトやアクションは素晴らしいと思います。生物の多様性と自然のバランスを維持することはとても大切なこと。維持できなければ、森林の破壊によって、災害も起こるでしょう。動物は、生息地と食料を失ってしまう最初の犠牲者。植樹は、誰もが所有権を握るべき、重要で勇敢な行動です。これ以上、気候変動が森林を傷つけないことを願います」
アングレームに移住してからのイザベルさんの日課には、散歩やハイキングが加わったそう。シャラント川沿いに続く、グリーンベルトという意味の散歩道。そこは文字通り自然に囲まれた小径で、木々が生い茂り、野生の草花が咲き乱れる。
「この川沿いを散歩する時間がお気に入りです。春はエルダーフラワーの花を摘んだり、初夏にはさくらんぼを木からもいで食べたり、秋には栗拾いをしたり……。ただ草花と触れ合うだけでも、リフレッシュした気持ちになれるのです」
イザベルさんに限らず、フランス人は自然と共存するのが得意。冬に太陽を感じる機会が少ない分、春から夏にかけては日光浴やピクニック、週末となれば自然を求めて郊外へと足を伸ばす。
そうやって自然に親しむ機会の多いフランス人にとって、AIGLEのラバーブーツは欠かせない存在だ。1853年創業の老舗ブランドだけに、誰もが子どもの頃、AIGLEのラバーブーツを履いていた記憶を持っているほど。フランス人にとってノスタルジックで、まさに世代を超えて愛されているアイテムなのだ。自然との触れ合いを大切にし、環境への意識も高い彼らにとって、環境に配慮したプロダクトを選ぶのは当たり前のこと。天然ゴムを使用するAIGLEのラバーブーツは、そういった観点からもフランス人に寄り添っている。
「私達の住む世界は、サイクルが早すぎる消費社会。何が重要かを見失いがちです。でも自然に寄り添った暮らしを意識することで、ひとつの正解に辿り着くことができるのではないかと思います」と、話すイザベルさん。彼女の創作へのインスピレーションは、きっとこれからも尽きることがない。
アングレームの美術大学を卒業後、イラスト、出版を中心に活動を開始。デッサンやコラージュ、写真、映像、刺繍など多岐にわたる表現で、フランスはもとより、海外でも作品を発表している。